「グローバル」という言葉が一般に使われるようになって久しい。 わたしたちの日常生活においても、もはやこの言葉を聴かない日はないようにさえ思われます。

「相互関係の親密化」「複合的結合」「ハイパー・コネクティヴィティ」... その状況を言及する語彙は多々あれど、しかし果たしてわたしたちの思考は、この現象に順応するように充分に「球体化」しているのでしょうか。わたしたちはどれほど身体の実感を持って、地球の裏側の出来事を思考することができるのでしょうか。

グローバル化した人間の活動が南極の氷を溶かし、熱帯のジャングルを焼き、ますます熱を発する放射性物質のかたわらで新しい地層の定義が議論される。人工知能がセンサー内蔵の道路を走り、やがて特異点に差し掛かる集積情報からはじき出された「合理的な選択」が、人類の足元を照らし始めているような今日。わたしたちはかつてないこの「豊穣の苦難」に、一体どのように向かい合ってゆくべきなのでしょうか。

キカ・ギャラリーは2020年、コロナ禍中での準備期間を経て、同年9月に京都市北山に誕生しました。

伝統文化の根付く古都・京都で、現代アートを通して同時代の様々な運命と向かい合う。キカ・ギャラリーは国境に囚われない、世界市民的な発想と開かれた対話のプラットフォームを築くことを目的としています。