2022.4.22-24 / 4.29 - 5.8
キカ・ギャラリーでは、ドルトムントを拠点に活動するドイツ人アーティスト、イェンツ・サンドハイムの展覧会を開催します。
日本では初となる今回の個展でサンドハイムは、カメラを使わずに撮影した写真作品を展示します。
最初のシリーズは、彼の最新作であるサイアノタイプの作品です。サイアノタイプは、天文学者ジョン・ハーシェルによって1842年に発明された最も古い写真技法の一つで、写真の先駆者として世界初の「写真集」を出版した英国の植物学者アンナ・アトキンスが好んで使用したものです。アンナ・アトキンスが自然界を調査したのに対し、サンドハイムは文化的な「オブジェ」の視覚的研究に集中しています。
2つ目の « ストリンドベリの変奏曲 » シリーズは、写真用紙に直接露光したものと、4x5インチのネガからプリントしたもので、1890年代にスウェーデンの作家、アウグスト・ストリンドベリが、光を曲げて歪める写真装置や、レンズ(人間の目さえも)に不信感を抱き、現実を描写する能力に疑問を投げかけいたという逸話を踏襲しています。興味深いことに、フォトグラム・スタイルの作品は現実を絵画的に表現する最も直接的な方法であるように思われます。しかしながら出来上がったそのイメージは、しばしば、現実から突拍子もなくかけ離れているように見えるのです。あるいはこれは、ギリシャの哲学者プラトンの「洞窟の寓話」を思い起こさせるかもしれません。もしかしたら、世界がどのようなものであるのかを何も知らず、私たちが見ているのは「遠い真実の影」に過ぎないのかもしれません。