1960年代、井田照一は当時新しい美術の潮流であった、ポップ・アートをいち早く取り入れ、便器や哺乳瓶、裸の赤ん坊などのモチーフを軽快な色調で画面に描き注目を集めました。1969年にはフランス政府の奨学金を得てパリへと渡航し、目に見えない「風」や「空気」をより表層的なイメージとして捉えた表現を模索します。1970年代中頃から、「Surface is the Between - Between Vertical and Horizon」(表面はあいだである。垂直と水平のあいだ)という、井田にとって生涯のテーマとなる思想を確立し、1980年代以降になると、油彩、陶、ブロンズ、紙パルプなどの様々な素材を用いて精力的に創作活動を続けました。
本展覧会では、「イダ ショウイチ スタジオ」のご協力により、井田のリトグラフ・シリーズ『マイ・リトル・ファニー・ペイジス(My Little Funny Pages)』を一挙公開しました。 『マイ・リトル・ファニー・ペイジス』は 1960年代から井田照一が制作してきた ライフ・ワークとも呼べるシリーズです。まるでアイデア・スケッチのように、軽快に描かれた本シリーズには、多岐に渡る井田作品の本質的な思考が凝縮されていると言えるかもしれません。
1965 | 京都市立美術大学西洋画科専攻科修了 |
1967 | 第2回毎日フランス留学コンクール展(フランス政府主催)第2位 |
1968 | 新人作家のためのサンヨー文化賞 第3回毎日フランス留学コンクール展大賞 |
1974 | 第2回ノルウェー国際版画ビエンナーレ展(ソンヤ・ノルウエー)買上 |
第2回芦屋川国際版画ビエンナーレ展大賞 | 京都府美術展買上賞 ジャパンアートフェスティバル |
1975 | 第11回リュブリャナ国際版画ビエンナーレ展(ユーゴスラビア)リエーカ近代美術館賞 |
1976 | 第10回国際版画ビエンナーレ展 文部大臣賞 |
1977 | 第1回現代版画大賞展 優秀賞 第13回日本現代美術展 京都国立近代美術館賞 |
1978 | 第7回クラクフ国際版画ビエンナーレ展第3位(ポーランド・名古屋) |
イビザ国際版画ビエンナーレ展 イビザグラフィック'78特別賞(スペイン) | |
1980 | アートボックスブランナール(高知) |
1981 | 第14回リュブリャナ国際版画ビエンナーレ展第2位、サラエボ美術アカデミー賞(ユーゴスラビア) |
1982 | 第7回英国国際版画ビエンナーレ展 ピーター・ミラード賞(イギリス) |
第10回国際版画ビエンナーレ展 文部大臣賞 |